「自己破産って何?」
「自己破産を行うための条件があるって本当?」
このような不安を抱えている人は少なくありません。
結論から言いますと、自己破産は多重債務解消のために用いられる法的手続きのことですが、全員が利用できるわけではありません。
実は!自己破産にも様々な種類があり、自己破産するのにも条件があります。一般的にその条件を知らない人も多いです。
そこで今回は、自己破産について徹底解説するとともに、利用するための条件について説明していきます。
検討されている人は自分が利用できるかどうか一緒に確認していきましょう。
自己破産とは
自己破産とは、裁判所を通じて債務の支払いを「免除」してもらう手続きのことです。
自己破産が成立した場合、税金などの非免責債権などを除いた全ての借金の返済義務が無くなります。
自己破産は、多重債務などで生活が成り立たなくなった際の救済手段であり、生活再建の手段として法律で認められた制度です。
破産することで日常生活が取り戻せる場合、多重債務解決の手段として検討してみてはいかがでしょうか。
自己破産の種類
自己破産には3つの種類があります。
- 同時廃止事件
- 管財事件
- 少額管財事件
どれが適用されるかは、経済状況や借金の総額などを考慮した上で裁判所が決定することになります。
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
同時廃止事件
同時廃止事件とは、破産者に「不動産」や「貯金」「車」等の財産が無い場合に適用されます。
破産を申請した場合、破産者の財産を換価し債権者に分配する手続きが行われますが、破産者に換価できる資産がない場合は、債権者に分配すること自体不可能となります。
そのため、破産申請と同時にこれ以上の手続きが出来ず手続きが終了することになることから「同時廃止」と呼ばれています。
同時廃止の場合は、破産管財人の選任も行いませんので手続きがスムーズに進み、費用も押さえられるメリットがあります。
管財事件
管財事件とは、破産者に財産が一定以上あるケースや、借金をした原因がギャンブル等の浪費である等自己破産に至った原因に問題がある場合に適用されます。
管財事件となれば、裁判所から選任された「破産管財人」が、破産者の調査を行い、換価処分を行い債権者に配当を行うことになります。
管財事件は同時廃止事件と比較しても破産管財人費用なども必要になることから、破産終了までに時間がかかり、費用もかさむこととなります。
少額管財事件
少額管財事件とは「管財事件」の内、裁判所に納付する引継予納金の金額を通常の管財事件よりも大幅に少額化した手続きを言います。
そもそも管財事件により自己破産をする場合は、自己破産の費用そのものが高額になるケースが多いです。
しかし、同時廃止となれば費用が管財事件と比較して大幅に少額化出来るものの、管財人による破産者の調査が行われないため、本当に資産を持っていないのか確認が出来ず、債権者が不利益を被る可能性が高くなります。
そこで管財人による調査を行いながら、破産者の費用も大幅に抑えた少額管財事件という手続きが行われるようになりました。
同時廃止事件よりも債権者に寄り添い、管財事件よりも債務者に寄り添っている手続きと言えるのです。
自己破産できる条件
自己破産を申請するためには、以下の5つの条件に当てはまらなければいけません
- 返済不能
- 免責不許可事由に該当しない
- 自己破産の予納金が支払える
- 職業制限ではない
- 自己破産の免責を過去7年以内に受けていない
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
返済不能
自己破産をするためには、現在の債務を返済することが出来なくなっていることが条件となります。
現在の債務は、所有する資産や収入などを総合的に鑑みても返済が不可能であることが必要です。
つまり、財産を売却したら債務が無くなるケース等は、自己破産することが出来ません。
また、第三者から見て通常であれば返済可能だと判断される債務の場合も自己破産が認められません(主に100万円以下の債務等)。
ただし、生活保護者等やむをえない事業があり返済不能である場合などは自己破産が認められるケースもあります。
詳しくは弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
免責不許可事由に該当しない
免責不許可となれば自己破産は出来ません。
免責不許可となる事由は以下に該当する場合です。
- 不当な破産財産価値減少行為
⇒破産前に自らの財産を減少もしくは隠ぺいする行為
- 不当な債務負担行為
⇒破産手続きを遅らせ闇金業者からお金を借りたり、クレジットカードを現金化したりする行為
- 浪費又は賭博
⇒ギャンブルや株取引をはじめとする極度の浪費行為
- 業務帳簿隠匿等行為
⇒財産状況に関する書類の隠ぺい行為
など
自己破産の予納金が支払える
自己破産をするにも費用が必要になります。予納金が支払えない場合自己破産は出来ません。
尚、予納金は以下の費用に充てられます。
- 自己破産申し立て手数料
⇒破産申し立てに必要になる費用
- 官報公告費
⇒破産した旨を官報に掲載し公告する費用
- 予納郵券
⇒債権者に対して破産した旨を通知する郵便に必要となる費用
- 引継予納金
⇒破産管財人の手続きのために必要となる費用
職業制限ではない
自己破産を行うと一定の職業に就くことが出来なくなります。
- 警備員
- 弁護士
- 司法書士
- 宅地建物取引士
- 保険外交員
- 証券会社等の外交員 など
制限職業に就いている場合は、破産手続き中は仕事をすることが出来ません。場合によっては収入が途絶える懸念もあります。
そのような場合は個人再生や特定調停、任意整理など、自己破産以外の債務整理の方法も含め検討するようにして下さい。
自己破産の免責を過去7年以内に受けていない
自己破産は何回も行うことが出来ます。
しかし、実際には最初の自己破産の時よりも免責許可が下りるハードルは高くなります。
特に「前回の自己破産から7年以内」のケースでは自己破産が認められませんので注意が必要です。